同じものを見ても、人によって見え方は違う
同じものを見ていても、見え方はいろいろです。
ここに、円柱の積み木があるとします。
上からみると円形です。
横からみると長方形です。
同じ積み木を見たときに、あなたと私とでは、頭に描いている積み木は、違っているかもしれません。
同じものを見ても、状況によって見え方は違う
雪が積もっている朝です。あなたは、駅に向かって急いで凍った道を歩いていると想像してみてください。
その途中、歩道に乗り上げて車が停まっていました。車道に出ないと、あなたは前に進めないような状況です。
この状況を、あなたは、どう見ますか?
こんな滑りやすい道路状況の時に、車道にでて歩くのは危ないので、この車は迷惑な車に見えます。
駅に向かって急いでいる私は、「雪の中、歩道に乗り上げて車が停まっている」状況を否定的に見ていたのです。
ところがそこで、車が停止しているすぐ目の前のお家の玄関から、足を骨折した子供が、お母さんに支えられながら、車に近づいてくるのが見えました。子供は、その歩道に停まっていた車に乗り込みました。この車は、この子のために歩道に乗り上げていたのですね。
その時、あなたは「雪の中、歩道に乗り上げて車が停まっている」状況をどう見ますか?
私は、足を骨折している子供が車に乗るのを見た瞬間に「雪の中、歩道に乗り上げて車が停まっている」状況を肯定的に見られます。
同じものを見ているのに、一つ情報が加わっただけで、180度も見方が変化します。
もし、骨折した子供が車に乗り込むところを見なければ、私は、車を見て迷惑な車だと思ったまま、駅に向かっていたことでしょう。
このように同じ情報を見ても、頭に描いているものは、状況によって変わってきます。
私たちは、何かをみた瞬間に良い悪いを瞬時に判断しがちです。理由のあるなし、理由の内容によって、気持ちが振り回されたりするわけです。
今回は、たまたま車の停まっていた理由がわかりました。しかし、いつでも、理由がわかるわけではありません。
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知覚された世界は、私たちが解釈したもの
選択理論では、知覚された世界は、現実世界を私たちが解釈したものと説明しています。
入ってきた情報を肯定的にみるか、否定的にみるか、どちらでもないと中立的にみるか、意味づけをしています。
円柱の積み木なら、上から見て円形でも、横から見て長方形でも、人によって見え方が違うだけで、どちらが良い悪いではなく中立的に見ることができます。何も意味付けをしません。
同じことが、人間の生活の中に入ってきた途端に、肯定的にみたり否定的にみたりと意味付けをします。誰かが何かをした情報に対しては、人によって見え方が違うだけではなく、その行動や言葉に良い悪いと意味づけをして見てしまいがちです。そのため、ストレスを感じたり、トラブルになったりします。
上の例での現実世界は、「雪の積もった歩道に、車が停まっている」ただそれだけです。
私の知覚された世界では、「滑って危ない道で、歩道に車を停めている状況は迷惑だ」と否定的な意味づけをして、ストレスを感じました。その後、足を骨折した子供の情報が加わることで、「子供の歩く負担を減らすため、玄関からできるだけ近くなるように車を停めた」と肯定的な意味づけをしました。
見た瞬間に良い悪いを判断して、気持ちが振り回されているわけです。
選択理論では、現実世界を意味づけをしないでそのまま見ることを「低い知覚で見る」たくさんの意味付けをして見ることを「高い知覚で見る」と表現します。
「低い知覚で見る」と、「雪の積もった歩道に、車が停まっている」
「高い知覚で見る」と、「滑って危ない道で、歩道に車を停めている状況は迷惑だ」や「子供の歩く負担を減らすため、玄関からできるだけ近くなるように車を停めた」ということになります。
「高い」と「低い」の言葉のイメージと逆ですが、「低い知覚で見る」方が周りの人と見え方が共有しやすくなります。あなたが見ても、私が見ても、そこを通りかかった通行人が見ても、「雪の積もった歩道に、車が停まっている」です。
「高い知覚で見る」と周りの人と見え方が違ってきますし、あなた一人でも、見え方は、状況によって変わってきます。
これがストレスやトラブルの元になるのです。
現実世界で起きている事実は一つですが、解釈は人によって、その時の状況によって無数にあるのです。
低い知覚で見ることを心がけると、見た瞬間に良い悪いの判断をして、振り回されることが少なくなります。
今日1日をふりかえり、何かイラっとしたことを1つ思い出してみてください。
その事件を「低い知覚」で見直しをしてみると、イラっとしないと思いますよ。
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